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「〇〇だからしょうがない」が口癖の人とうまくやっていくには

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病気だからしょうがない

ぼくは仕事柄たくさんのしょうがない、という言葉と出会ってきました。

障害があるから俺にはわからねえ

年だからわたしにはできないよ

僕、発達障害だから人の気持ちがわからないんだよね

「〇〇だからできない」

精神疾患や高齢による認知機能の衰え、発達障害さまざまな要因で他の人より何かをすることにハンデを抱えている人は皆さんが想像する以上にいらっしゃいます。

こうした方と出会って、彼ら彼女らは一見すればわがままに見えるでしょう。

ぼく自身も上記の方々に堂々と発言されたときは、何をいっているんだこの人は、とあきれてしまったことがあります。

しかし、こうした「〇〇だからしょうがない」と言い訳し何も行動しようとしない人は障害や病気に限らず実はぼくらの周りにたくさんいます。

そんなやつとは距離を置く方がいい。

たしかにそこまで親しくない関係性ならそれも簡単でしょう。

でも中には大切な家族や友人、パートナーにそうした傾向がある場合だってあります。

そうした人が近くにいる人がどうしたらいいのか、そうした人に悩む人を助けてあげたいそんな人に今日は届けたい記事です。

そもそも、「〇〇だからできない」というセリフはどうしたことから出てきたのでしょう。

さて、ぼくは行動学と心理学を研究と実践してきたオオハシです。生物の動作の獲得や人が学ぶためにどう心が動くのかについて考えすぎるくらい考えすぎてきました。

そんな行動学や心理の観点でまずは考えてみましょう。

そもそも行動はどうやって獲得するのか。

この場合「〇〇だからできない」と言葉を発することです。

振れば物が出てくる打ち出の小槌があれば何回でも振りますよね。

ぼくはそうする。

人に限らず生き物は自分の生きる上で最も役に立つ動作に価値をおきます。

言い換えるなら自分にとって嬉しい行動がもっとも良い行動と考えます。

良い行動なら何度でも繰り返したいですよね。

例えば、

木を登ったらおいしい木の実が手に入った。

夜に行動したら、肉食獣に襲われずに餌を探せた。

速く走ったらたくさん獲物を捕まえられた。

大きな声を出したら仲間が集ってくれた。

こんなふうに動物たちの行動の後には何かしらの結果が起きています。

行動→結果

ぼくたち動物がどうやって動作を獲得するのかというと、行動した結果、自分に取っていいことが起きた。

という経験が行動頻度を増加させるというわけなんです。

これはスキナーという行動学者が研究したお話でもありますがそちらはまた別の機会に。

気になる人はスキナーの問題箱とかで調べてみよう。

さて。

「〇〇だからできない」とことあるごとに言う人はどうでしょうか?

行動 「〇〇だからできない」

結果 「???」

結果には何が当てはまると思いますか?

もしかしたら優しい言葉をかけてもらえたかもしれません。

もしかしたら難しい課題を免除してもらえたかもしれません。

もしかしたら嫌いな食べ物を食べずにすんだかもしれません。

彼らはかくして、打出の小槌である「〇〇だから・・・」という無敵のキーワードを手に入れたのでした。

行動がどうやって獲得できるのかはこれでわかりましたね。

さてここから心の話に移ります。

心というものは観測することができません。

なにせ目に見えないのだから。

しかし、かつてターミネーターは言いました。

「人間がなぜ泣くのかわかった」

感情のないターミネーターはジョン少年からどうやって心を読み取ったんでしょうね。

さて、学問の世界ではこうした心の動きというのは絶対に断定できません。

嬉しい、だろう

かなしい、だろう

おこっている、だろう

どれも推測の域を出ません。

他人の心の状況を断定することはもうファンタジーの領域なわけです。

心というのはとある状況のときにこの行動の回数が多かったらどうやら嬉しいと思っている人が多いらしい、という数の話になってくる。

行動の偏りの観測が心の観測というわけです。

ぼくらは昔から目に見えないものには名前をつけようとします。

「虫の居所が悪い」

機嫌が悪い人なんかを表現するときにはこんなふうに言います。

お腹の中に虫がいて、変なところにいるもんだからイライラしている。

そんな訳あるかい!と突っ込みたくもなりますが妙に納得できる感じもします。

なにせ、奥さんが怒っているとき、旦那は多くの場合なんで怒っているのかわからない。

なんで怒っているのかわからないあの時間、たまらなく不安じゃないですか?(ぼくは不安です。)

さて、このように人はわからないものに対してとても大きな不安を覚えてしまう生き物です。

「〇〇だからできない」という人(これからはAさんと呼ぶ)は、障害であれ病気であれこれまできっとたくさんの失敗をしてきたことでしょう。

きっと失敗のたびに、大変だ!つらい、かなしい!と思ってきたかもしれません。

でもこんな失敗をするのはどうしてなのか自分にはわかりません。

そうなったとき、Aさんは

「病気だからできないんだ」

と一つの答えにたどり着きます。

こうしてAさんは自分が何者かわからない不安から逃れるために、自分が何かであろうとするのです。

自分にラベルをはれたことで不安から安心を手に入れたわけだ。

それが弱い自分は病気だ、障害だ、高齢者だと言い張る理由です。

こうして獲得した行動と、手に入れた安心からその人が抜け出すにはその人を受け入れること。

受容すること。

最初の行動の獲得の仕組みを思い出してください。

人は行動の後に嬉しいことがあるとその行動の頻度が増します。

つまり、Aさんが間違ってしまったり、失敗してしまったときもAさんの周りの人が彼をそれでもいいんだと受け入れてあげることが大切なのです。

受け入れることが大切なのは保育や教育の世界では当たり前です。

両親や保育者が何でも受け入れてくれる、という安心感のお陰で、未知の体験も勇気をもって踏み出すことができるようになるのです。

心理学者のボウルビィはこれを愛着の形成と言い、そうした両親のような心理的に安心する場所を安全基地と呼びました。

「〇〇だからしょうがない」

という人は安心がどこにも見当たらないため、どこにも踏み出せな状態に陥っています。

だから障害や病気という言葉にしがみついて離れることができなくなってしまうのです。

そんな人と関係性を築くとするのならば安全基地の存在が必要不可欠です。

もしあなたの大切な人がそんな人ならば、もしかしたら今はつらいかもしれません。

しかし、今のつらいをそのままにしてしまって傷を深くしてしまった例をぼくはたくさん見てきました。

まず始めるべきことは否定しないこと。

これがけっこう大変です。

なにせ誰でも失敗するし、自分と考えが違うことなんてよくあります。

そんなときも

そうだね。

そんな方法もあるのか。

そりゃ面白い。

と受け入れること。

今書いてみた言葉も決して全部肯定しているわけではありません。

ときには心から肯定できないときには

そんな方法もあるのね。

と感心してみたりすることもあります。

大事なのは否定しないこと。

これができるようになってくると安心基地としての立場が築けてくるでしょう。

というわけで今回の記事では、「〇〇だからしょうがない」が口癖の人と付き合う方法について考えてみました。

大事なのは受け入れること。

一つ注意書きをすると、そういう人と距離を取ることも時には必要です。

支援者自身が壊れてしまったら元も子もないのですから。

適切な距離感の中で、彼らのことを否定せずにやり取りをすること。

安心基地を作ってあげること。

一つにしがみつかなくていいことをわかってもらうこと。

これらが大切なんではないかと考えました。

世の中難しい人はたくさんいますが、実は自分がそうなっちゃうこともあるし、身近な人がそうなってしまうことだってあります。

誰かの役に立てたら幸いです。